泣き虫の子（奴）この指とまれ！

大人になった名無しさん

小さい子に泣き顔見られるのは恥ずかしいよね。Y雄君はそこまでプライド高いタイプではなさそうだが、男の子だし、高学年になっても校庭で泣かされるのは辛かっただろうな。
自分を守ろうと必死に言い返したら、逆に目立ってしまうし、ますますいじめっ子の思うツボだよね。

T君も、割と下の学年の子たちにも泣き顔見られてた。
3個下のSちゃんが言いふらしたり、｢あれ6年のT君だよ！泣き虫なんだよ！｣とわざと大声で言うから、Sちゃんの学年では特に有名だったな。

高学年になって、彼が衆人環視の元で号泣したのは、6年の児童祭の時。夏休み後の残暑厳しい時期だった。
なんか1年生の女の子が、間違ってT君の足を踏んだんだよね。当然、T君は激怒して彼女の頭を思い切り突き飛ばした。
女の子がよろけたから、俺が慌てて支えてやった。その子に怪我はなかったが、さすがにこの時はT君を良く思えなかったな。

プライド剥き出しの鋭い目で睨みつけるT君に、後ろからいきなりMちゃんが背中叩いて、振り向いた所をビンタ。
この時点でT君は目を真っ赤にして唇噛み締め、喉がヒクヒク。それでもプライド剥き出しの鋭い目のまま、Mちゃんと睨み合いになった。
周りには小さい子もたくさんいたし、皆興味津々でT君に注目。6年の女子からは｢T君サイテー！｣｢謝りなさいよ｣とブーイングが飛んだ。
無言の睨み合いの末、T君はついに特大の涙ボタボタ、一気に顔真っ赤にして号泣。激しく咳き込むように嗚咽して、体が前に倒れそうになってた。
追い打ちをかけるようにMちゃんの暴言。｢こんな小さい子に足踏まれたくらいで何怒ってるの？｣｢人を責める前に自分の性格を直せよ！｣
まぁ図星だったのだが、鼻っ柱折られたT君はさらに号泣。ウオーッと大声で嗚咽して、Mちゃんに殴りかかった。
Mちゃんは攻撃をかわして、T君の手首を捕まえて、人目のない裏庭に引っ張っていった。
その間も、小さい子たちに泣き顔しげしげ見られて、｢お兄さん泣いてるー｣と言われて、T君は泣きながら睨み続けてた。

慌ててついて行って、俺とT君とMちゃん3人きりの状況になった。MちゃんなりのT君への配慮だったらしい。
人目がなくなった途端、T君は空に突き抜けるような甲高い声で号泣。涙も同時に6、7粒、ボロボロと特大の球体のまま溢れ出して凄かった。
最後の力を振り絞り、再びMちゃんに掴みかかるも、結局負けてた。
細長くて白い手足を組んで、その場にへたりこんで号泣するT君。顔は見えなかったが、足の下にどんどん涙の水たまりが拡がって、マンホール並の直径になった。(下は乾いた土だった)
背中さすったら汗でグッショリ濡れてて、しゃくり上げるたびに肩が大きく波打ってた。

結局、祭りが終わるまで俺もMちゃんも、T君に付き合う羽目に。
30分以上号泣して、完全に顔もバンバンに腫れ上がり、目は土偶状態。さすがに涙の粒は小さくなったけど、ダラダラと川のように鼻筋や頬を伝ってた。
過呼吸気味で、ふえっふぇっふぇっ、と弱々しく嗚咽。とりあえず水を飲ませたが、当然のような態度でお礼がなかったのが幼心にモヤッとした思い出。
いつもの5倍くらい泣き腫らして、教室に帰るのが相当嫌だったらしく、帰りの会はT君は欠席してた。