【トイレ掃除】「汚い・臭い…そんなイメージ覆す」トイレ清掃員の決意は歌になった [朝一から閉店までφ★]

朝一から閉店までφ ★

杉山圭子2022年1月11日 7時00分

写真・図版
磨き上げたトイレの床に寝そべり、ポーズをとる大井朋幸さん（手前右）ら=東京都奥多摩町氷川、JR奥多摩駅前
https://www.asahi.com/articles/ASQ1874L8PDKUTIL040.html

　窓辺に置かれたCDプレーヤーから、ポップで楽しげなメロディーが流れてくる。

　奥多摩トイレット、ナンバーワン　イン・ジャパ～ン　イン・ジャパ～ン

　JR青梅線の終点・奥多摩駅前の観光用公衆トイレ。大井朋幸さん（47）の1日はここから、このテーマソングとともに始まる。

　曲名は「OPT（オピト）」。「オクタマ・ピカピカ・トイレ」の頭文字で、「日本一観光用公衆トイレがきれいな町」を掲げる東京都奥多摩町で、その使命を担うプロ集団の名称でもある。メンバー4人のリーダーが大井さんだ。

　磨くのに機械やブラシは使わない。床にはいつくばり、スポンジでタイルの溝に入った汚れまで丁寧に落とす。便器も手鏡で内側まで確認しながら念入りに。薄いグローブをはめた手で直接磨くと、キュッキュという摩擦音が心地いい。尿石などの汚れが少しでもあると、この音は出ない。

　清掃員になったのは2017年春。長年調理の仕事に携わり、前年までは入浴施設の支配人だったが、体調を崩して退職した。新たな職を探す中で、町の第三セクター「奥多摩総合開発」が職員を募集していると知った。

　仕事がトイレ掃除だと知ったのは入社後だ。町内のトイレは当時どこも汚かった。

　防塵（ぼうじん）マスクにゴーグルをつけ、鼻の穴に塗り薬を詰めて作業に臨む日々。それでも襲いかかるアンモニア臭に吐き気がし、涙が出た。食欲もわかず、半年足らずで5キロやせた。

【トイレ掃除】 「汚い・臭い…そんなイメージ覆す」トイレ清掃員の決意は歌になった [朝一から閉店までφ★]

【トイレ掃除】「汚い・臭い…そんなイメージ覆す」トイレ清掃員の決意は歌になった [朝一から閉店までφ★]