【社会】震災障害者把握　心のケア　身障者手帳申請時、原因欄に「自然災害」

ばーど ★

大地震などにより障害を負った「震災障害者」の把握につなげるため、厚生労働省は、身体障害者手帳の交付申請時の診断書・意見書の原因欄に「自然災害」を加えることを促す通知を自治体に出した。
一九九五年の阪神大震災で、行政から置き去りにされたという経験から改善を訴えてきた震災障害者らは、東日本大震災や熊本地震の被災地で同じ苦しみを繰り返さないよう願う。　（中山高志）

身体障害者手帳を持つことによって、所得税や住民税などの控除のほか、医療費の助成、一部交通機関の運賃割引などの支援を受けることができる。

手帳の交付を自治体に申請する際には、指定医の診断書や意見書が必要。厚労省がモデルとして自治体に示す様式は、
障害の原因の記入欄に「交通」「戦傷」「先天性」など八項目の選択肢があったが、三月三十一日付の通知で「自然災害」を加えた。

兵庫県と神戸市が二〇一一年にまとめた震災障害者の調査報告書は「障害者手帳の申請書類に『震災』などの記載欄がなく把握が難しい」とした上で
「家族の死や家屋全壊など、複合的な喪失とともに障害を負ったことが固有の問題」と指摘。両県市はその後「心のケアなど必要な支援につなげるため」（神戸市）として「震災」などの項目を独自に追加した。

阪神の震災障害者らは二月末、診断書の原因欄に「自然災害」を加えることなどを厚労省に要望していた。
熊本県障がい者支援課は「把握の必要性は認識しており、通知は大きな前進」としており、今後集計の態勢を整える。

東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島各県と仙台市によると、震災で障害を負ったとみられる人は少なくとも計百十三人に上る。
福島県の担当者は「これから起こりうる災害も含め個別の事情を把握することで支援にも生かせる」と話す。
一方、宮城県は「東日本大震災で障害を負った人の申請はこれ以上増えることはないのでは」としている。

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「ようやく国が動いてくれた。震災障害者という存在が認められたことが一番大きい。声を上げて前向きに生きる後押しになる」。
阪神大震災で倒壊した自宅の下敷きになり、右脚などに障害が残る神戸市中央区の岡田一男さん（７６）は決定を喜んだ。

岡田さんは「ある日突然、障害者という立場に置かれたのに、犠牲者と比べて『生きていて良かった』という目でしか見られず、つらさを言い出すこともできなかった。
世間から見捨てられたという喪失感の中で生きてきた」と振り返り、「熊本や東北の被災地でも同様に苦しんでいる人はいるはず。通知を支援にもつなげてほしい」と訴える。

同様に自宅倒壊で下半身の機能を失った兵庫県西宮市の飯干初子さん（７０）も「当時は行政の支援窓口もなく、どこに相談していいかも分からなかった。
こちらから出向かなくても、救いの手を差し伸べてくれるようになってほしい」と話す。

原因を記す欄に「自然災害」が加えられた、厚労省の身体障害者診断書・意見書のモデル
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/images/2017042499070539.jpg

配信　2017年4月24日 07時05分

東京新聞　ニュースサイトを読む
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017042490070539.html

【社会】震災障害者把握 心のケア 身障者手帳申請時、原因欄に「自然災害」

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