【決算】任天堂、今期純利益予想を900億円に上方修正…円安で恩恵、スマホ向けゲーム「スーパーマリオラン」も好調

曙光 ★

任天堂は31日、今期（2017年３月期）の連結純利益予想を900億円（従来500億円）に上方修正した。携帯型ゲーム機「３ＤＳ」や昨年12月に配信開始したスマートフォン向けゲーム「スーパーマリオラン」が好調で、円安も利益を押し上げた。
　　営業利益予想は200億円（従来300億円）に引き下げ、売上高は従来予想（4700億円）を据え置いた。同時に発表された16年10ー12月の純利益は647億円となり、アナリスト３人の予想平均205億円を上回った。円安に伴ってこの３カ月間に413億円の為替差益が生じた。

　　クリスマスプレゼントとしてゲームが売れる10ー12月期は任天堂にとって最大の商戦期。
新型家庭用ゲーム機「スイッチ」の発売を３月に控えた今回は、現行の家庭用ゲーム機「Ｗｉｉ（ウィー）Ｕ」の販売不振をマリオランと携帯型ゲーム機３ＤＳで補う形だった。
マリオランのダウンロード数は現時点で7800万という。ただ、今期に予定していた「どうぶつの森」のスマホ向け配信は来期に延期した。スマホの普及でゲームをめぐる環境が変化しており、今期は８期連続の減収となる見込み。
「スイッチ」に期待
　　君島達己社長は31日の記者会見で「スイッチの予約の状況を見ていると、お客様から大変期待されている。生産はできるだけ増加できるように準備していきたい」と語った。
スイッチ本体については黒字で販売する。営業利益の下方修正については、３ＤＳ向けゲームの販売が期待に届かなかった点などを理由に挙げた。
　　岩井コスモ証券の川崎朝映アナリストは取材に、「営業利益が下振れたことについてはややネガティブな印象」と述べた。ただ、今期中に予定していた「どうぶつの森」の配信が来期にずれるだけなら「そこまで心配する必要はない」と話した。
　　海外売上高比率が高く多額の外貨建て資産を保有する任天堂にとって、米大統領選挙後の円安は収益の追い風となった。年度末の前提為替レートは１ドル＝110円（10月の発表では１ドル＝100円）、１ユーロ＝120円（同１ユーロ＝115円）とした。
収益の多角化
　　スイッチは３月３日、日本や米国などで発売する。価格はソニーのゲーム機と同水準の２万9980円。タブレット端末のように持ち運んで外で遊ぶこともでき、今期中に200万台の販売を見込む。
「ゼルダの伝説」が本体と同時に発売され、「スーパーマリオ」や「スプラトゥーン」などの人気ゲームも夏以降に発売予定だ。
　　任天堂は収益の多角化を急いでおり、２月にはマリオランに続くスマホゲーム「ファイアーエムブレムヒーローズ」の配信を始める。
昨年７月には、任天堂が32％の株式を保有する「ポケモン」が関わった「ポケモンＧＯ」の配信が開始され、世界的なヒットゲームとなった。日米３カ所のテーマパークで、マリオなどゲームキャラクターを使ったエリアを開設する計画もある。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-31/OKBPZN6K50XW01