【社会】用水路への転落死急増、歩きスマホも注意…秋田

リサとギャスパール ★

　用水路への転落死亡事故が秋田県内で相次いでいる。
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　県によると、４月以降、用水路（排水路を含む）に落ちて亡くなった人はすでに７人に上る。県警では８月中に危険箇所を点検して抽出、雪の積もる冬を前に、転落防止用のポールを立てるなどの対応策を検討する方針だ。

　田園が広がる秋田市郊外の太平八田地区。６月２２日早朝、新聞配達員が、用水路（幅１・８メートル、深さ５０センチ、水深約３０センチ）で亡くなっている男性（６８）を発見した。
近くには水没した自転車も発見された。県警によると、夜間に自転車を運転中、転落したという。用水路に柵や蓋はなかった。近所の男性は「ここに人が落ちて亡くなるのは初めてではない」と、危険性を指摘した。

　県農地整備課によると、自転車、自動車の運転中や歩行中に、土地改良区が管理する用水路や排水路に転落して死亡した人は１７日までに７人に上る。
半年もたたないうちに、２０１３～１５年度の３年間に同様の事故で死亡した計６人を上回っている。

　死者のうち、県警が特に問題視しているのが、自転車運転中の転落事故だ。交通企画課によると、今年１月以降、自転車を運転中に用水路に転落し、死亡した人は３人。１３～１５年はいなかった。

　事態を重く見た県警は生活道路を中心に、水路管理者の土地改良区などとともに緊急点検に乗り出した。柵のない用水路と歩道が接するなどの危険箇所を８月中にもリストアップする。
特に危険と判断された場所には、雪が積もって道路と用水路との境目が分かりにくくなる前に、光に反射する「反射材」を貼ったポールを立てたり、鉢植えを置いたりすることを検討する。

　いずれも自転車の転落対策だが、県警では「歩行者や自動車の転落を抑止することにもつながる」と強調する。柵やガードレールを設置したり、用水路に蓋をしたりする場合に比べて、時間をかけずに安価でできることもメリットだという。

　一方、県は今月はじめ、スマートフォン向けゲームアプリ「ポケモンＧＯ」で遊ぶ人らの「歩きスマホ」による用水路への転落事故を防ぐため、注意喚起を促す文書を作成。
土地改良区の一部も例年、子どもが夏休み中に危険な用水路に近づかないよう求めるチラシを小中学校に配っている。

　◆用水路＝水田に水を供給する水路で、維持管理は土地改良区などの水路管理者が行う。水田から不要な水を流す水路が排水路。道路管理者が管轄し、路面にたまった水を流す「側溝」とは区別される。
県内では土地改良区の管理する用排水路が約２万２０００キロにおよび、このほか水利組合や市町村が管理する用排水路もある。

◆柵や蓋設置には生活への影響指摘も◆

　県警は将来的に、転落の危険がある用水路に柵や蓋を設置することを視野に入れるが、「別の危険を招いたり、住民生活に影響したりする可能性がある」との指摘もある。

　県農地整備課によると、蓋をした場合、大雨が降ると、蓋によって流量が制限されて行き場を失った水が上流で氾濫し、住民に危険がおよぶ可能性がある。

　柵やガードレールを設置すると、雪を捨てるのが難しくなるという声もある。転落事故が繰り返し起きた秋田市太平八田地区では、事故の度に議論になるが、「ふさいだら雪の行き場がなくなる」という意見が必ず出るという。

　県内のある土地改良区の幹部は「生活道路で転落対策を取る場合、住民の利便性維持と両立させる必要がある」と話した。県警は慎重に対応する方針だ。

http://www.yomiuri.co.jp/national/20160818-OYT1T50046.html
2016年08月18日 18時44分