【ヘイトスピーチ条例考（下）】「朝鮮半島に帰れ」「在日特権？あるか！」飛び交う主張・罵声予想される“申請合戦”、困難な審査に委員は… [03/29]

ちゅら猫φ ★

>>1より

条例はヘイトスピーチについて、特定の人種や民族の個人・集団を社会から排除し、憎悪や差別意識をあおる
目的で侮蔑や誹謗（ひぼう）中傷するものなどと定義している。

条例賛成派は「条例の定義はよくできており、単に政治主張として述べた場合はヘイトスピーチとは断罪されない」
とみる一方、「ひどい侮蔑や扇動の言葉がくっついているとひっかかるかもしれない」と指摘し、主催者側は過去に
ヘイトスピーチをしていた－と断定した。

双方の議論の末、主催者側が「市条例は日本人への発言にも適用されるとの認識は共有された。
『在日特権条例』は撤回する」、賛成派が「言論弾圧に使われることもあり得る条例」と互いに歩み寄る場面もあった。
しかし、「韓国・朝鮮人に朝鮮半島に帰ってくれと言うことの何が悪い」といった主張が出ると、会場から「バカ」「帰れ」「黙れ」
と罵声が飛ぶなど、ピリピリした雰囲気がただよった。

条例が定義していても、立場によって何がヘイトスピーチに当たるのか、解釈や感覚が全く異なる実態が浮かんだ。

■「『慰安婦強制連行』は日本人へのヘイト」

解釈が異なるという現実は、市への“申請合戦”につながる恐れも秘める。

「相手のヘイトスピーチを市に提出するために、発言をしっかり記録しておいてくださいね」

２月２１日午後の日曜日の昼下がり、大阪市のメーンストリート・御堂筋で、同２２日の「竹島の日」を前に
韓国による竹島（島根県）の不法占拠に異議を唱えた「日韓断交デモ」を行う陣営と、デモに反対する陣営が
それぞれスピーカーで仲間に同じことを呼びかけていた。３月の討論会に参加した人々と同じ顔ぶれもみられた。

約１００人が行進したデモ陣営は、周囲を走る反対陣営に対し「プラカードを掲げて走っているのは在日韓国人、
朝鮮人ですよ」と決めつける言動も。ただ、慰安婦問題について「強制連行したなどというのは、われわれのおじいちゃん、
おばあちゃんに対するヘイトスピーチ。許さない」と指摘。「日本人を拉致するような朝鮮人に出て行けということの
何が悪いのか」とも主張した。

反対陣営は「お前らキモいんじゃ」「バカばっかりや」「はよ帰れ、人間のクズ」などと罵声も目立ち、休日を楽しむ
家族連れが大音量の応酬を心配そうに見つめ、若者からは「どっちもうるさいよ！」との声も上がった。

■「相手のヘイトを市に申請する！」

デモから約１カ月後の３月。市には「ヘイトスピーチの申請をしたい」と１件だけ問い合わせがあったという。
ただ、担当者が「条例の施行規則が定まっておらず、まだお受けできない」と説明すると、それ以上詳しい話はなかった。

「どれだけ申請が来るかは始まってみないと分からない」。市職員の１人は不安を口にする。
条例に照らし、討論会やデモで飛び交った言動はヘイトスピーチに該当するのか。
市は「あくまで個々の事例や状況に照らして判断される」と慎重な姿勢だ。

ただ、「条例制定に疑問を呈する意見は今も寄せられ続けている」（市担当者）という。
「言論弾圧では」「日本人に対するヘイトスピーチにも適用されるのか」などの疑念だ。

市が条例案決定前の２７年３～４月に実施した市民意見募集（パブリックコメント）には、
市内外から計３３６８件の意見が寄せられ、多くは条例制定への疑問の声だった。

「表現の萎縮を招く懸念」「審査会の判断基準などが恣意的で中立・公平が保たれない恐れがある」といった意見に加え、
「日本人の自由の制限や外国人の優遇、特定の政治勢力の伸長、弁護士の優遇等の目的があるのでは」
「自作自演やなりすまし行為で、特定の人を加害者に仕立てる場合もあり得る」との声すらあった。

困難が伴うヘイトスピーチの認定に向けてカギを握るのが、有識者らからなる新設の市ヘイトスピーチ審査会だ。
憲法が保障する「表現の自由」との兼ね合いもめぐって難しい審査を求められるため、あるベテラン市議は
「審査会の委員を誰も引き受けてくれないのでは」と心配する。

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