【国際】ドイツ州議会選で「極右」が大躍進！それでもメルケルは難民政策の誤りを認めない [03/18]

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★ドイツ州議会選で「極右」が大躍進！それでもメルケルは難民政策の誤りを認めない
2016年03月18日（金）川口マーン惠美

■メルケル首相の「巨大な失敗」

CSU（キリスト教社会同盟）の党首ゼーホーファー氏は、3月13日にドイツの3州で行われた州議会選挙の結果を「巨大な失敗」と称した。

「巨大な失敗」とは、メルケル首相の難民政策の失敗、そして、それが原因となったと思われる与党の票の極端な落ち込みを意味している。

今回、選挙が行われたのは、バーデン・ヴュルテンベルク州、ラインランド・プファルツ州、そして、旧東独のザクセン・アンハルト州の3州だ。
ドイツには16の州（うち3つは特別市）があるが、州政府はかなりの自治権を持っており、国政（連邦政治）に対する影響力もそれなりに大きい。

現在のドイツの連邦政権は、メルケル首相のCDU（キリスト教民主同盟）、ゼーホーファー党首のCSU、そしてガブリエル党首のSPD（社民党）
の三党連立だ。SPDは今でこそ元気がないが、かつてはCDUと並ぶ大政党だった。したがって現在、ドイツの政権は「大連立」という位置付けだ。

一方、CDUとCSUは名前を見てもわかる通り姉妹党で、CSUはバイエルン州を、そして、CDUはバイエルン州以外のすべての地域を担当している。
つまり元々のCDUとCSUは中道保守で、規模は違うが双子のような政党であった。

なぜ「あった」と過去形で書くかというと、最近、CDUのメルケル首相のやっていることは、あまりにも保守らしくないからだ。
それに比してゼーホーファー氏のCSUは、正真正銘の保守政治を貫いている。

両党は現在、とくに難民政策において主張を異にしており、ゼーホーファー氏が、メルケル氏の政策を攻撃することも多い。
ただ、まずいことにCDUとCSUは連立を組んでいる間柄なので、ゼーホーファー氏は自分の政策の正しさを証明すればするほど、
「巨大な失敗」に自らも巻き込まれることになる。今となっては、こんな2党が連立を組んでいること自体、はっきりいっておかしい。

なお、ゼーホーファー氏のCSUは、前述のようにバイエルン州だけに存在する党なので、今回の選挙に候補者は出していない。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48217

■AfDは本当に「極右」なのか？

さて今回、3州すべてで大成功を収めたのは、いわゆる「極右」と言われているAfDだ。党名を直訳すれば、「ドイツのためのもう一つの選択」。

AfDは2013年2月に誕生した新党で、EUの強大化には懐疑的。ドイツのアイデンティティを重視し、イスラムの伸長を警戒し、
また、難民を際限なく受け入れるメルケル首相の政策にも強く反対していた。

そのAfDが、今回、バーデン・ヴュルテンベルク州で15.1％、ラインランド・プファルツ州で12.6％、旧東独のザクセン・アンハルト州では
24.2％の票を獲得し、大躍進を見せたのだ。前回の選挙の時には存在もしなかった政党の突然の台頭に、現在、ドイツの政界では
皆がうろたえている。

AfDの伸長に対する危惧は、しかし、今に始まったことではない。興味深いことに、既存政党とメディアは、AfDが産声をあげた当初から、
猛烈な反AfDキャンペーンを張っていた。

AfDは排他主義で、軍国主義で、危険極まりない勢力。放っておくと民主主義が破壊されるので、どうにかして新芽のうちに潰して
しまわなければならない等々。テレビの政治討論でも、AfDとの同席を拒否する政治家が現れ、SPDのガブリエル党首にいたっては、
AfDは「違憲政党」として禁止するべきだとまで言った。

いずれにしても、AfDは難民問題で人々の不安を煽って票を集める悪い党ということになっている。AfDの台頭を許すと、
ドイツは外国人排斥や軍国主義といった誤った方向に向かってしまう。民主主義の危機だ！と、一流のジャーナリストまでが
皆、声を揃えて叫んでいる。

この光景を見ながら、日本の状況を思い出すのは私だけだろうか？　日本のメディアも言っている。安倍首相は戦争をしたがっている
危険な首相で、ぼんやりしていると日本は刻々と軍国主義に導かれてしまう、と。日本とドイツのメディアは、なんだかとても似ている。

ただ、いくらメディアが警告を発しても、日本でなかなか安倍政権の支持率が下がらないように、ドイツ国民も、必ずしもAfDが
極右で危険だとは考えなかったようだ。3月13日の選挙結果がそれを如実に示している。

(以下リンク先で読んでください)

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48217?page=2