【新聞に喝！】南シナ海の自衛隊活動　「議論欠かすな」（朝日）、「外交努力も」（毎日）…マンネリ化した安倍批判 [11/29]

★【新聞に喝！】南シナ海の自衛隊活動　「議論欠かすな」（朝日）、「外交努力も」（毎日）…マンネリ化した安倍批判
2015.11.29 13:53

■ジャーナリスト・伊豆村房一

東南アジア諸国連合（ＡＳＥＡＮ）は２２日、ＡＳＥＡＮ経済共同体（ＡＥＣ）を今年末に発足させると宣言した。
すでに高水準の関税自由化を進めてきたＡＳＥＡＮだが、今後はさらに「６億人市場」形成に向けて経済統合を進化させることになる。

これから経済統合の成果を挙げるためには、地域の安全保障の土台が安定していることが大前提となる。
これまでＡＳＥＡＮは「日米中と東アジア諸国とのさまざまな対立と共存の構図の中で重層的な地域統合を
築いてきた」（大庭三枝・東京理大教授）とされる。今後、中国の台頭という戦略空間としての東アジア
およびインド太平洋の中で、果たして共存を図っていくことができるのかどうか。

ＡＥＣ設立宣言と同じ日にＡＳＥＡＮと日米中など域外８カ国の首脳による東アジアサミット（ＥＡＳ）が開かれた。
そこでは、中国による人工島造成・軍事拠点化をめぐり米中の緊張が高まっている南シナ海で、
偶発的な衝突を回避するための行動規範（ＣＯＣ）の早期締結をめざす合意がなされた。

翌日の議長声明は、南シナ海の安定、航行の自由の重要性を再確認するとともに、全ての関係国に緊張を
高めるような行動をとらないように呼びかけた。産経は「声明にはＣＯＣの早期締結が盛り込まれ、国連海洋法
条約を含む国際法に沿った紛争解決の重要性が強調された」と報じている（２４日付）。

南シナ海には、米海軍のイージス駆逐艦が派遣され、人工島の１２カイリ内を航行させる「航行の自由」作戦が
継続されるという。安倍晋三首相はその方針を支持しているが、それについて朝日は「独断でルール変更を
めざす中国の行動は容認できるものではなく、首相の支持表明は理解できる」と安倍首相を評価している（２１日付社説）。

ところが、南シナ海での自衛隊活動について「日本の安全保障に与える影響を注視しつつ検討する」
という首相発言には「真意は何なのか。早期に国会を開き、きちんと説明してもらいたい」とかみつき、
「日米が同じ行動をとることだけが連携ではない。日本として何を、どこまでするのか。国民的な議論が
欠かせない」と論難した（同）。

毎日は「自衛隊を軽々しく派遣すべきではない。ＡＳＥＡＮに安全保障分野の人材育成や技術支援など
日本らしい役割を果たすべきだ。同時に中国との対話を重ね、緊張を緩和する外交努力も粘り強く続けて
いく必要がある」と主張した（２３日付社説）。

いずれも現実の安全保障環境の激変や中国の大国意識への歴史的転換が過小評価され、
内向きの安保法制反対論と変わらぬマンネリ化した安倍批判に終わっている。

【プロフィル】伊豆村房一

いずむら・ふさかず　昭和１６年東京生まれ。慶大経卒。元東洋経済新報社取締役編集局長。

http://www.sankei.com/economy/news/151129/ecn1511290014-n1.html

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