【社会】まず逃れられない…県警の黒塗りバイク「黒豹」　和歌山

レジェンゴ ★

和歌山県警交通指導課には暴走族対策に特化したバイク「黒豹ひょう」に乗って取り締まりに当たるチームがある。
２０００年代、各県警はこうした専門チームを相次いで誕生させたが、黒豹は先駆けといえる存在。近年、暴走族は減少傾向で専門チームを
解散する県警も出ているが、和歌山県警では暴走族捜査だけでなく、非行少年が道を誤らないよう働きかけるのも大切な任務と位置づけ、
確かな存在感を示し続けている。
捜査上の秘密でチームの人数は公表していないが、白バイ勤務などの後、さらに特殊な訓練を積み、運転技術が特に優れた警察官たちで
構成する。主力は力強い加速を見せる大型の黒塗りバイク「黒豹」が担い、シルバーの車体で小回りが利く中型バイク「銀虎」も連携して、
街中の暴走車両を追いつめる。
暴走族取り締まりでは、自らの安全はもちろん、暴走車両に乗った者の安全確保も大事な任務。和歌山市内にある県警の練習場では、
黒豹チームが編隊を組んで、実際の路上でどのように効果的に行動を制止させるか、地道な訓練を重ねている。

チームが発足したのは０２年。まだ街中でバイクや改造車を乗り回す少年らの姿が多数見られる頃だった。その後、少子化の影響などで
暴走族は減少傾向にある。
ただ、県内のこうした少年たちの間では黒豹はよく知られた存在。「暴走中、黒豹に見つかったら、まず逃れられない」。黒豹を畏怖する
評判は年々浸透し、発足当時に県内で七つあった大きな暴走族グループはすべて解体に追い込まれた。今は少人数でゲリラ的に暴走に
及ぶのが主流になっているという。
暴走に関する１１０番通報もかつては年間１０００件以上あったが、２０１４年は約４３０件と大きく減っている。
それでも黒豹チームが地をはうパトロールの手を緩めることはない。黒豹が街を走り続けることで暴走の抑制効果が期待できることと、
パトロールの最中に出会った少年たちと顔を合わせてじっくり話をすることが非行の芽を摘むことにつながっているからだ。
深夜のコンビニやスーパーの駐車場で、怪しい車両を目にした時、隊員はいきなり威圧的に接することは戒めているという。「きれいにして
大事にしてるんやなぁ」と切り出し、「でも、これで道を走ると違反やで」と注意する。
年式や型など互いにバイク好きだから弾む話題もある。顔見知りになれば、「こんばんは」「チーッス」と向こうから話しかけてくることもある。
「もう遅いから早く帰れよ」と声をかけ、少年らが帰途につくのを根気よく待ち見届ける。
強固な結束を誇る暴走族チームはほとんど目にすることがなくなったが、代わりに無料通話アプリ「ＬＩＮＥ（ライン）」などで気軽に集合し、
暴走に及ぶのが今のスタイルという。走行中もスマートフォンで警察の取り締まり情報を交換しあうなど手口も巧妙化している。そんな時、
日頃から少年たちの生の声をしっかりと受け止めておくことが、悪質な暴走行為の検挙で威力を発揮する。
黒豹チームの班長は「日頃から少年たちと信頼関係を築いておくことが大切だ。摘発が目的なのでなく、危険行為をやめさせたいとの思いで
取り締まっていることを、きちんと向き合えば分かってくれる。過ちから更生し、その後、元気に過ごしている姿を警察に報告してくれた時が
何よりうれしい」と話す。
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９月の未明に集団で危険な暴走をしたとして、県警は、１６～１７歳の少年９人を道交法違反（共同危険行為など）の疑いで逮捕や書類送検
したと２４日、発表した。
発表では、９人は９月６日午前１時１０分頃から和歌山市の国道４２号などでバイク３台、原付きバイク２台に分乗し、約３０分間、道路いっぱいに
広がって蛇行運転や信号無視などを続けた疑い。うち６人は高校生だった。
黒豹チームの日頃のパトロールで収集した情報などを基に暴走行為を裏付けたという。（下村公美）

http://www.yomiuri.co.jp/national/20151125-OYT1T50032.html

【社会】まず逃れられない…県警の黒塗りバイク「黒豹」 和歌山

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