【社会】今こそ日本は難民をもっと受け入れるべきだ　テロ対策も安全保障も外交力も強靭に、日本にとってはメリットだらけ　部谷直亮 [11/18]

★今こそ日本は難民をもっと受け入れるべきだ　テロ対策も安全保障も外交力も強靭に、日本にとってはメリットだらけ
2015.11.18（水）部谷直亮

日本の難民受け入れ体制に対する国際的な批判が強まっています。先日の国連における安倍首相の記者会見でも、
日本はなぜ難民をもっと受け入れないのかという質問がありました。この背景には、欧州や中東諸国が万単位で
難民を受け入れているにもかかわらず、日本では年間10人程度しか受け入れていないことがあります。

しかし、日本ではもっぱら難民を受け入れることのリスクが叫ばれ、難民受け入れに賛成する人は少数派です。
フランスでの連続襲撃事件以後は皆無に等しいと言ってよいでしょう。しかし、難民受け入れは本当に日本のためにならないのでしょうか。

筆者は、日本はもっと難民を受け入れるべきだと考えています。今回は、難民の受け入れこそが実は日本の自衛隊と
外交力を飛躍的に強化する施策であり、巷間で言われているリスク論は間違っていることを指摘したいと思います。

■難民受け入れは自衛隊を強化する

日本の自衛隊の第1の問題は、人口減少社会にどう対応するかです。2015年は前年比27万人の人口が減りましたが、
これは東京大空襲約2回分の死者に匹敵する規模です。つまり、現在の日本は大規模な戦略爆撃を毎年受けている
に等しいのです。しかも高齢化や要介護者の増加もハイスピードで進んでいます。

これは近い将来、警察・消防・自衛隊・海保で人材の奪い合いが起きることを意味しています。実際、最近の自衛隊の
志願者数は減少傾向に転じています。だからといって徴兵制は有効性・経済性の面で論外ですし、徴兵したところで
若者の母数が極端に減っている以上、意味がありません。

対策としては、米軍のように人工知能や無人システムの導入を急ぐことです。また、難民やその子弟から就業支援と引き換えに
志願者を募って、フランスのように外人部隊を作るべきでしょう。これは海外作戦での政治的リスクを低減できる効果もあります。

自衛隊が抱える第2の問題は、人種的・文化的・言語的同質性があまりにも高すぎることです。
この問題は邦人救出などの特殊作戦に影響を及ぼします。

例えばシリアで誰か日本人が人質になったとしましょう。平和安全法制に基づいて自衛隊の特殊部隊を送り込むにしても、
事前に隊員を送り込んで拠点作りや情報収集を行うことが必須です。NGO職員や商社マンに偽装した自衛隊員が
送り込まれることになりますが、見慣れない東洋人の異教徒がイスラム国支配地域で聞き込みなどを行えばどうなるでしょうか。
間違いなく、怪しまれて拘束されるでしょう。

米国、英国、フランス、イスラエルなど、海外での特殊作戦を積極的に行う国々は、軍人や諜報機関に中東系を
はじめとする多様な人種的・文化的背景を持つ人間を登用し、作戦に生かしています。

自衛隊も文化的・言語的・人種的多様性に富む人材を揃えれば、上記の特殊作戦だけでなく
、人道支援活動等も含めた海外任務をより円滑に行えるようになるでしょう。つまり難民受け入れは自衛隊の戦力を強化し、
日本人の生命財産を守ることにつながるのです。

■北朝鮮崩壊に今から備えよ

北朝鮮が崩壊することはほぼ間違いなく、今や遅いか早いかの問題でしかありません。北朝鮮が崩壊すれば大量の難民が
周辺諸国に向かうことになるでしょう。一説には10万人以上の難民が日本にもやってくる恐れがあるとされます。

その際は、シリア問題の構図がそうであるように、韓国の北朝鮮難民受け入れが限界に達し、日本へ向かうように仕向ける
可能性もあるでしょう。そうなれば100万人近い難民が北九州や新潟に粗末な漁船で押し寄せる可能性もありえます。

この事態への対処に失敗すれば、武装難民が日本各地で跳梁し、難民への差別と反感という排外主義の悪循環により
治安は崩壊し、日本は社会的・経済的大混乱に陥ってしまう可能性があります。

そうした事態を何としても回避するために、関係省庁が連携して大量の難民にうまく対応する能力（海上警備・社会的
統合・テロ防止・就業支援・本国帰還支援）を、試行錯誤しながら今のうちに高めておくべきでしょう。特に警察・公安
調査庁の予算・人員の強化も必須です。社会全体でも、今の内から難民流入への経験値を高めておくべきです。

>>2へ続く

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45269

【社会】今こそ日本は難民をもっと受け入れるべきだ テロ対策も安全保障も外交力も強靭に、日本にとってはメリットだらけ 部谷直亮 [11/18]

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