【南シナ海】米中、「危機管理」狙い会談＝ＡＳＥＡＮ取り込みへ外交戦 [11/03]

★米中、「危機管理」狙い会談＝ＡＳＥＡＮ取り込みへ外交戦

【クアラルンプール時事】カーター米国防長官は３日、マレーシア滞在中に中国の常万全国防相と会談した。
力を背景とした南シナ海の現状変更に反対し、航行の自由の原則擁護を掲げる米側に対し、
中国は人工島周辺での米艦航行を改めて批判したとみられ、議論は平行線をたどった公算が大きい。
最大の狙いは、軍事対立激化を避ける「危機管理」にありそうだ。

長官は常国防相との会談に先立ち、中谷元防衛相に「南シナ海が開かれた自由で平和な海でなければならない」
と強調した。米国防当局者はロイター通信に、人工島周辺への艦船派遣が「３カ月に２回超の頻度」になると説明。
「常に目を引くことなく定期的に行うには、適切な頻度だ。中国やその他各国に米国の見解を知らせる
という意図と一致する」と語った。

米軍艦は今後、先月２７日に通過した南沙（英語名・スプラトリー）諸島のスービ（中国名・渚碧）礁周辺や、
ミスチーフ（美済）礁周辺などでの航行を繰り返す可能性がある。常国防相との会談には、米側の意図を
閣僚レベルで中国に伝達し、注意喚起する思惑もうかがえる。

中国側も対米批判一色ではない。習近平国家主席は「（米国との）実務的協力を強化し、共同利益を拡大
しなければならない」と指摘。ハリス米太平洋軍司令官は訪問先の北京で、米中衝突を予測するのは
「悲観的見方」と述べ、対話を通じ誤解と誤算を避けていく考えを示した。米中とも、南シナ海問題が
２国間関係全体を傷つけないよう配慮している。

一方、長官は国防相会議を利用し、中国に対する態度で温度差も見られる東南アジア諸国連合（ＡＳＥＡＮ）
各国に対し、米国の関与を明確に示して安心感を与え、中国と向き合うよう求める意向だ。
さらに、日米豪、日米印、日米比の３カ国間協力を通じて対中圧力を強化。中国を含む関係各国に、
話し合いによる問題解決の歩みを加速させるよう促す。

これに対し中国は、ＡＳＥＡＮとの安全保障協力の強化を打ち出し、中国主導の南シナ海管理の枠組み
づくりを進める構えだ。習主席は５日からベトナム、シンガポール訪問に出発。包囲網にくさびを
打ち込むため、トップ外交を通じ、領有権をめぐり対立するベトナムなどへの働き掛けを行う。（2015/11/03-21:01）

http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2015110300185

★米海軍は今後も南シナ海に艦船派遣と＝太平洋軍司令官

ハリー・ハリス米太平洋軍司令官は3日、米軍が今後とも南シナ海に艦船を派遣する方針だと表明した。
北京大学での講演で述べた。ハリス大将は北京大学で講演し、「われわれは数十年にわたり世界中で
航行の自由作戦を展開してきた。今さら意外に思うべきではない。わが軍は今後とも、国際法が許す
ならどこでもいつでも飛行し航行し活動する。南シナ海は例外ではないし、今後も例外にはならない」と述べた。
司令官はその上で、航行の自由作戦は「定常的に」実施しているもので、「決して他の国を威圧する
ものと受け止められてはならない」と補足した。

別の米政府筋はロイター通信に対して、南シナ海での巡視は少なくとも「四半期に2度、あるいはもう少し頻繁に」
行う予定だと説明。「それくらいの頻度なら、相手の目玉を指で突くほどのことではないにしても、
定期的な出来事になる。国際法の下で常に我々の権利を行使し、中国その他の国々にアメリカの見解を
念押しするには効果的だ」と話した。米軍は10月27日に、中国が南シナ海・南沙（スプラトリー）諸島に
造成した人工島周辺の海域に駆逐艦「ラッセン」を派遣し、スビ礁とミスチーフ礁から12カイリ
（約22キロ）内を航行させた。

中国政府はこれを自分たちの国家主権を侵害する「違法行為」だと強く非難。海軍首脳同士のビデオ会議では、
米国が南シナ海での「挑発行動」を中止しなければ、ささいな出来事が紛争の火種になると警告している。
>>2へ続く

http://www.bbc.com/japanese/34707236