【埼玉】関東大震災の朝鮮人虐殺　今夏、韓国の遺族消息確認［09/05］

★【埼玉】関東大震災の朝鮮人虐殺　今夏、韓国の遺族消息確認
2015年9月5日

一九二三（大正十二）年九月一日の関東大震災では、根拠のないうわさや偏見に基づく
朝鮮人の虐殺事件が相次ぎ、県内でも北部を中心に二百数十人が命を落としたとみられる。
悲劇から九十二年後の今夏、さいたま市で犠牲となった姜大興（カンデフン）さん
＝当時（２４）＝の遺族の消息が韓国で確認され、命日の四日、同市内で開かれた
追悼会で報告された。　（谷岡聖史）

さいたま市見沼区染谷の常泉寺の墓地。「朝鮮人姜大興墓」と刻まれた追悼碑の前で
約三十人が手を合わせた。事件の歴史を調べている県立三郷高校の関原正裕教諭（６２）は
「氏名や年齢が判明している犠牲者は数少なく、追悼碑は最も早い時期に建てられたものの一つ」
と話す。碑は染谷地区の住民が二三年に建てたとされる。

姜さんが襲われたのは四日未明。旧片柳村の染谷地区の畑で、やりや日本刀で武装した
地元の自警団の男たちに追い掛けられ、頭や胸を刺されて死亡した。出身地などは不明の
ままだったが、今年六月、韓国政府や米国の大学教授らの調査で、朝鮮独立運動の関係者の
名簿の中から、姜さんら虐殺犠牲者の記録が見つかった。

追悼会では、朝鮮人虐殺をテーマに映画を撮り続けている呉充功（オチュンゴン）監督（６０）が、
八月に韓国慶尚南道に住む姜さんの孫広浩（クァンホ）さん（６５）を訪ねたことを報告。
事件当時、姜さんの妻は妊娠中で、翌二四年に生まれた広浩さんの父を一人で育て上げた。
呉さんが常泉寺に墓があると伝えると、広浩さんは「毎年慰霊をしてくれて本当に感謝している。
できれば一度訪問したい」と話したという。

行政が各地区に自警団を組織するよう命じるなど、事件に関わっていた可能性も明らかになってきた。
当時の染谷区長の孫で元大宮市議の高橋隆亮（たかすけ）さん（７１）は今年七月、自宅の古い机の
引き出しの中に、県や片柳村、軍の関東戒厳司令部からの通知十一通を発見。自警団の結成を憲兵や
警察に届け出るよう指示した通知もあった。

犯人は事件直後、「恩賞にあずかりたい」と自ら警察署に出頭している。
関原さんは「自警団員は『言われたとおりに悪い朝鮮人を殺した』と思ったのだろう。
情報が不十分だった震災直後、県などの通知が地域に及ぼした影響は大きい」と指摘する。
高橋さんは「もし姜さんの孫が訪ねてきたら、日本の歴史の過ちをしっかりと謝罪したい」と話した。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/20150905/CK2015090502000164.html

姜さんの追悼碑に頭を下げる参列者＝さいたま市見沼区で
http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/20150905/images/PK2015090502100058_size0.jpg

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