【宮崎】口蹄疫が終息5年、目立つ廃業

孤高の旅人 ★

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口蹄疫が終息5年、目立つ廃業
qBiz 西日本新聞経済電子版 8月25日(火)12時42分配信

　宮崎県で牛や豚約30万頭が殺処分された家畜伝染病・口蹄疫（こうていえき）の終息から、
27日で5年を迎える。口蹄疫を機に多くの高齢農家が廃業し、肉用牛の農家数は口蹄疫発生前の
7割にとどまる。特に、母牛に子牛を産ませる繁殖農家の廃業が目立ち、畜産王国の基盤が
揺らいでいる。

　農林水産省によると、農家数は2010年の口蹄疫前に比べ、肉用牛で73％、乳用牛で79％、
養豚で85％まで減少。JA尾鈴によると、特に被害が集中した川南、都農の両町では、
繁殖牛農家で49％、養豚で62％まで減った。繁殖農家の減少によって子牛価格が高騰し、
肥育農家の経営を圧迫しているのが現状だ。

　国を挙げた防疫の取り組みなどで、同県内の家畜頭数は口蹄疫前の約9割まで回復した。
ただ、近年は豚流行性下痢（PED）の発生や、消毒態勢が不十分な農家が確認されるなど、
防疫は道半ばにある。

◆家族一つ、牛舎に笑顔

　畜産農家が数十メートルおきに並ぶ畜産どころの宮崎県川南町。子牛繁殖農家、
西森善和さん（50）は、家畜伝染病口蹄疫（こうていえき）終息から5年になるのを前に、
笑顔を見せた。「やっと日常に戻った気分だよ」

　昨年4月から、畜産を学んだ2人の息子と、3人で働き始めた。今年2月には牛舎を増築。
口蹄疫の発生で、繁殖用の母牛40頭を含め飼育していた牛全てが殺処分されたが、何とか、
母牛を46頭まで増やした。「子ども2人分の稼ぎも必要。母牛を増やして事業拡大しないと。
まずは50頭が目標」と意欲を見せる。

　簡単な道のりではなかった。「5年前のあの脱力感は、一生忘れられない」と善和さんは言う。
処分後に空っぽになった牛舎をのぞいた。消毒用の消石灰で一面雪景色のよう。石灰の
においの中で、ぼうぜんと立ち尽くした。

　当時は、父和弘さん（75）と働いていた。気丈な和弘さんは牛舎の建て替えに乗り出したが、
善和さんは牛舎を避けるように地元商工会の臨時雇いに。借りていた牧草地も返した。
善和さんの牛舎で比較的早い段階で口蹄疫が出たため、「ウイルスをばらまいた」と中傷を受け、
人に会うことも怖くなっていた。

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