【社説検証】世界遺産登録　産経「不当な歴史介入許すな」　朝日「強制労働」は証明済み [07/22]

★【社説検証】世界遺産登録　産経「不当な歴史介入許すな」　朝日「強制労働」は証明済み
2015.7.22 10:40

「軍艦島」の通称で知られる端島（はしま）炭坑（長崎市）など８県２３施設で構成される
「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録が５日、決まった。６月の日韓外相会談で
折り合ったはずの問題が土壇場で韓国から持ち出され、当初予定より１日遅れの決定と
なったものである。

産経は「遺産の意義とは無関係な朝鮮半島出身者の『徴用工』をめぐり、政府が、
『一部の施設で強制労働させられた』という韓国側の主張への配慮を示した」ため
「大きな禍根を残した」との見解を示した。

「韓国側がいう強制労働との批判がそもそも誤り」「徴用は法令（国民徴用令）に基づいており、
賃金支払いも定めた合法的な勤労動員である」「全体主義のナチス・ドイツやソ連による
『強制労働』とはまったく異なる」と韓国側主張の非を詳述する一方で、「安倍晋三政権として、
韓国政府の史実を踏まえない要求に譲歩したことは否めない。歴史への不当な介入を許しては
ならない」と日本の交渉のまずさにも言及した。

「韓国政府の執拗（しつよう）な政治工作」と断じた読売は「韓国政府が日本の遺産に関する
『負の側面』を過剰に演出した」「文化財保護を目的とする場で、歴史問題での自国の立場強化
を狙うのは、筋違いなロビー外交」と韓国の手法を批判する。

さらに「多数の朝鮮人労働者が内地へ動員されたのは事実だが、国際法に反する『強制労働』
とは異なる」との見地を示し、「結果的に、徴用の表現を巡って韓国にゴネ得を許し」たと斬り込んだ。

対して朝日は「審議を政治対立の場にしてしまった日韓両政府のふるまいは実に見苦しかった」
と日韓双方の非を指摘した。韓国政府には「なりふりかまわぬ言動がめだった」と論じつつ、
日本政府にも「韓国の今後の司法判断などに悪影響を及ぼしかねないなどとして、
今も『強制労働ではない』と否定する。だが、暴力的な動員や過酷な労働を強いた事実は
多くの研究で証明されている」と説き、「強制労働」があったことを強調した。

「朝鮮半島の出身者が離職の自由なく重労働を強いられた歴史に、日本は目をつぶってはならない」
（毎日）、「炭坑や製鉄所は明治以降も存続した。戦時には植民地から多数動員され、日本人と
ともに過酷な労働に従事したという史実は否定できない」（東京）－。ともに朝日に近い見方といえよう。

今回の一連の経緯が日韓関係に及ぼした影響についても、各紙に大きな隔たりがある。

「苦い後味を残しはしたが、双方が最後は歩み寄って最悪の事態を回避できたのも事実だ」（朝日）、
「日韓関係が再び冷却化することを避ける自制が働いたと考えたい」（毎日）。両紙は「決着」に
一定の評価を与えている。朝日はさらに「騒動をバネに歩みを前に進めるべきだ」と提言した。

が、読売は「今回の騒動で、日本国内の『嫌韓』感情はさらに高まった。日韓関係改善の機運にも、
冷や水が浴びせられたのは間違いない」と辛辣（しんらつ）だ。

産経は「日本が譲歩姿勢を見せれば、韓国だけでなく中国もそこにつけ込み、事実に反する
歴史認識を押し付けてくる」と警戒を訴え、日本が設置を表明した「被害者を記憶にとどめる
情報センター」に関しても「仮に設置するとしても、その内容は日本が自ら史実に基づいて
決めなければならない」と厳しく注文をつけた。

戦時徴用をめぐって日本企業に賠償を命じる判決が続くなど、国家間で解決済みの問題を
蒸し返すのは韓国の“お家芸”ともいえる。今回登録された世界遺産は、本来の意義はもちろん、
「対韓交渉」への教訓も長く語り続けることになるのかもしれない。（清湖口敏）

◇

■「世界遺産登録」決定を受けた社説

産経

・喜びに水さす歴史介入だ　（７日付）

朝日

・「合意」踏まえ前へ進め　（８日付）

毎日

・今後にしこりを残すな　（７日付）

読売

・祝賀に水差す韓国の政治工作　（８日付）

東京

・歴史の光と影を見よう　（７日付）

http://www.sankei.com/column/news/150722/clm1507220006-n1.html

【社説検証】世界遺産登録 産経「不当な歴史介入許すな」 朝日「強制労働」は証明済み [07/22]

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