【朝日新聞】日韓関係が冷えこんでいると言われます。なぜなのでしょうか。［07/19］

★（ニュースのおさらい　ジュニア向け）韓国との国交、正常化から５０年
2015年7月18日16時30分

日本がとなりの韓国（かんこく）と国交（こっこう）を正常化（せいじょうか）して、
今年の６月２２日で５０年となりました。韓国は、日本と長い交流の歴史があり、
食文化やドラマ、スポーツの世界でもおなじみです。ところが、最近は外交関係が
冷えこんでいると言われます。なぜなのでしょうか。

■ドラマ、音楽、小説…交流盛ん

国交正常化とは、お互（たが）いを国として認め、政府どうしが問題を話し合える
関係にするということ。日本と韓国は１９６５年６月２２日に条約（じょうやく）と
協定（きょうてい）を結び、国交を正常化した。第２次世界大戦が終わって２０年後だ。

それからちょうど５０年たった先月２２日、東京とソウルの両方で開かれた
記念式典で日本の安倍晋三首相（あべしんぞうしゅしょう）と韓国の朴槿恵
大統領（パククネだいとうりょう）がそれぞれ出席し、両国関係の発展を祝った。

互いの首都まで飛行機で２時間あまり。この５０年で市民同士の交流は大きく
広がった。５０年前は年間計１万人だった人の行き来は今は計５００万人にもなる。

両国の人々が仲良くなるきっかけになったのは８８年のソウル五輪（ごりん）。
この年に１００万人以上の日本人が韓国を訪問した。さらに、１０年後の９８年、
金大中（キムデジュン）大統領が、禁止していた日本のまんがや映画などを
見られるようにし始めると、文化の交流が盛んになった。

２００２年には日韓でサッカー・ワールドカップを共同で開いた。
２年後、ＮＨＫでペ・ヨンジュンさん主演のドラマ「冬のソナタ」が放送されると
「韓流（かんりゅう）ブーム」に火がついた。「少女時代」や「ＫＡＲＡ」らが
活躍するＫポップブームへとつながった。キムチなど韓国の食材が、
日本の家庭の食卓（しょくたく）に普通に並ぶようになった。

一方、韓国でも村上春樹（むらかみはるき）さんや東野圭吾（ひがしのけいご）
さんらの小説が人気を呼ぶなど「日流（にちりゅう）」が広がっている。

経済では、韓国は今や日本のライバルだが、たとえばサムスン電子のスマートフォン
には日本の部品や素材（そざい）が多く使われていて、支え合う関係でもある。
日韓はともに中国、米国に次ぐ第３位の貿易（ぼうえき）相手国。少子高齢化
（しょうしこうれいか）などの社会の課題（かだい）にも共通点が多い。

■「歴史」「竹島」では対立

日韓は近年、歴史の問題や竹島（たけしま）（韓国名・独島〈トクト〉）は
日本か韓国かという対立で関係が悪くなっている。

日本は明治末期の１９１０年、朝鮮（ちょうせん）半島を併合（へいごう）し、
日本の国土の一部（植民地〈しょくみんち〉）として３５年間統治（とうち）した。
韓国の人々は、民族の運命を自分たちで決める権利がなく、学校で朝鮮語を学ぶ
授業がなくなったり、意思に反して炭鉱（たんこう）や工場で働かされたりもした。

韓国は植民地支配に抵抗（ていこう）した苦難（くなん）の歴史を建国の原点に
している。国交正常化の際には、植民地支配で生じた被害（ひがい）や損失
（そんしつ）をつぐなってもらう権利があると要求した。日本は、併合は当時の
国際法では合法だったという立場で、認めなかった。

結局、日本が韓国に経済協力のため計５億ドル分を渡（わた）すことなどを協定で定め、
「完全かつ最終的に解決（かいけつ）された」と確認（かくにん）することで
折り合ったが、考えの違いは残った。

日本は村山富市（むらやまとみいち）首相が９５年８月、過去の植民地支配と侵略
（しんりゃく）について「痛切（つうせつ）な反省と心からのおわび」を述べるなど、
問題の解決に努力してきた。しかし、日本の政治家から、それを取り消すような
発言が出て、争いはなくなっていない。

安倍首相と朴大統領は就任（しゅうにん）以来、一対一で話し合う首脳会談
（しゅのうかいだん）を開いていない。旧日本軍（きゅうにほんぐん）の
「慰安婦（いあんふ）問題」について、考え方に違いがあるためだ。　>>2へ続く

http://www.asahi.com/articles/DA3S11867610.html