【環境】シカ食害被害、深刻　霊仙山の植生荒廃　滋賀

ごまカンパチ ★

http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20150705/CK2015070502000005.html
　多賀町と米原市にまたがり、週末だけでなく、平日にも登山客が足を運ぶ霊仙山（一、〇八四メートル）。
山では、ニホンジカなどによる食害被害にあって植生が荒廃、降雨や台風などの要因が重なって土壌の浸食も進んでいる。

　山では、二十年ほど前からシカの食害などが増加。
ササ、フクジュソウ、トリカブトなどが食べられたり、樹皮をはぐなどされ、現在では岩肌が露出している場所も見られる。
県の推計（二〇一〇年度）によると、県内で四万七千～六万七千頭生息し、山では生息密度が高いとされる。

　山の保全や登山道の整備に取り組む「霊仙クリーンロードクラブ」の中村幸雄会長（６２）＝同市上丹生＝によると、
七合目付近の平原には、クマザサが背丈ほど茂り、斜面にはトリカブトがあった。
約十年前から徐々に消え今では土が見えるまでに減少。
また、登山道周辺では、倒木や表土の流出もあり「危機的な状況だ」という。

　中村さんは「このままの状態では災害がいつ起きてもおかしくない。植生を復活させるなどの根本的な対策を打たないと
悪い方向に進むばかり」と不安を口にする。

　県は、一三年度と一四年度にシカの捕獲を実施。初年度は二頭、二年目は十六頭を捕獲した。
表土の流出対策では、植生回復も狙い、地元の森林組合に委託して一三年度に約二・六五ヘクタールに間伐材を
等高線上に並べた。
また、渓流を安定化するためにコンクリート製のダムを二基設置し、一五年度は三基ほど増やしていく予定だ。

　県生物環境アドバイザーの村長昭義さん（６１）＝近江八幡市北末町＝は、山頂部にあったシオガマギク、スズカアザミ、
希少種のモリアザミなどが見られなくなったという。
また、シカの食害や開花の周期と重なったササなどの代わりに外来種が増え、「植物の種類が減ってきている」と分析する。

　村長さんは「県や地元が協力し、シカが食べないコアジサイやオオイワカガミなどを植えて地表を安定化させたり、
部分的にでも林を囲って下草を生やすといった取り組みを地道に進めていかなければならない」と話している。

【環境】シカ食害被害、深刻 霊仙山の植生荒廃 滋賀

【環境】シカ食害被害、深刻　霊仙山の植生荒廃　滋賀