【多文化共生】東京外大の職員や学生ら、「外国につながる子供」支援　文化や言語や家庭環境等も様々で対応に苦慮

★【東京】＜ぶら～り　キャンパス＞研究編　東京外国語大　「外国につながる子ども」支援　
2015年5月11日

「国際化」や「グローバル人材」の活躍の場は、すぐそばにある。東京外国語大（府中市）では、
学生が市と協力し、親の仕事で来日したり国際結婚で生まれたりした「外国につながる子ども」
の学習を支援するボランティアを続けている。家庭でも学校でもない第三の立場で、
言語の異なる社会へ放り込まれた子どもたちの心細さと向き合う。

ある金曜日の午後五時すぎ、府中市の府中国際交流サロンの一室に、小中学生がにぎやかに
集まってきた。この日の出席は九人。

子どもたちは一人一人、日本語の困難度や文化的な背景が違い、指導はマンツーマンだ。
中国から来日して間もない中学二年の女子生徒（１４）は、野菜や果物の絵が描かれたカードを
見ながら名前を当てる練習をしていた。小学四年の男児（９つ）は、日常会話には問題なさそうだが、
文章を理解するのはまだ難しく、宿題を助けてもらっていた。

授業を理解できるレベルまで日本語を習得するには時間がかかるが、一般的に支援は不十分だ。
家庭環境もさまざまで、適切に学ぶ機会を得られず放置される子どももいる。学習支援では、
日本語を教えるだけでなく、子どものつらさに寄り添い、丸ごと受け止める気持ちも必要だ。
全体を見る三年の亘詩織さん（２１）は「気になる子には『学校どう？』など、さりげなく声を掛ける」と話す。

三年の石山麻美さん（２０）はかつて、気性の激しい男の子を担当。
「座っていられず、ずっと母語で怒鳴り散らしていた。学校や生活で相当ストレスをため込んで
いたようです」。まず必要なのは楽しく過ごす時間だと考え、かけっこや輪投げなど遊びを
中心に触れ合った。男の子は「よーいドン」や「惜しい」などの言葉から覚え、次第に落ち着いていった。

子どもたちが帰ると、学生だけでミーティングを開く。その日の良かったことや反省点を話し合い、
次回につなげる。年に二回は保護者会も持ち、子どもたちの様子を伝え、親の不安に耳を傾ける。
二年の山森美佳さん（１９）は「もし自分がその立場なら、どんな助けが欲しいかと考えながら
やっている」と話す。ゼミで多文化社会について学ぶ三年の須藤楓さん（２０）は
「子どもを通して、その親たちが抱える問題も見えてくる」と感じている。

卒業後は日本を飛び出す学生も多い。活動をコーディネートする同大職員西原明子さん（４７）は
「自分たちの社会の中で隅に追いやられがちな人々がいると知り、目を向けることは、
将来どこで活躍するとしても、大きな財産になる」と見守っている。　（柏崎智子）

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20150511/CK2015051102000137.html
子どもたちに日本語の読み書きなどを教える東京外国語大の学生たち
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20150511/images/PK2015051102100044_size0.jpg

【多文化共生】東京外大の職員や学生ら、「外国につながる子供」支援 文化や言語や家庭環境等も様々で対応に苦慮

【多文化共生】東京外大の職員や学生ら、「外国につながる子供」支援　文化や言語や家庭環境等も様々で対応に苦慮