【国際】南シナ海を「EAST SEA（東海）」と名付けたベトナム～韓国軍に３万人を虐殺されたベトナムの未来志向

★韓国軍に3万人を虐殺されたベトナムの未来志向
2015.5.8（金）森清勇

■ベトナムの強さ

4月18日にハノイ入りした筆者の目に飛び込んだのは、間もなく迎える4月30日のベトナム解放40周年を祝う、
国旗と共産党旗が至る所に掲げられた姿であった。

ホーチミンが独立を宣言したバーディン広場はホーチミン廟、共産党本部、国会議事堂、外務省、国防省、
大使館、美術館などで囲まれ、植栽された木々には色々な果実が実りつつあった。

総大理石のホーチミン廟では丁度衛兵の交代があり、指揮者に引率された衛兵が腕を振り歩調を合わせて
歩く姿を見ることができた。ただ、交代後の衛兵は、最初の50メートルくらいは手足をしっかりと
伸ばして緊張して行進していたが、後半はややだらけた格好になり、練度の一端を見たように思えた。

ガイドは、長く植民地化していたフランスを追い払い、中国とは有史以来戦い続けているが負けたことはない
と語り、また、米国とも15年に及ぶ熾烈な戦争をしたが、ここでも勝利したと自信たっぷりに語ってくれた。

ベトナムは85％のベト族で、残り15％を53民族が占める多民族国家である。
しかし、中国のように民族間の軋轢はほとんど聞こえてこない。そこに団結の強さがあるのかもしれない。

今またパラセル諸島の領有をめぐって中国と対立しているが、ASEAN（東南アジア諸国連合）という
地域機構と東南アジアの発展に期待する日本を通じて日米同盟に期待を寄せている。

カンボジアでもベトナムでも、観光客の第一が韓国、次いで中国という話であったが、
本国人がガイドをして、お金は自国へ持ち帰るので「好きでない」という言葉を何度か耳にした。

アフリカに進出した中国資本が、労働者まで本国から連れて行き、投下資本を資源もろとも
持ち帰る図式が東南アジアでも行われているのだ。国民性は一寸やそっとでは直らない。
アジアインフラ投資銀行（AIIB）も、同じ轍を踏むのではないだろうか。

■「EAST　SEA」に秘めた覚悟

ハノイからホーチミンへはベトナム航空を利用した。フライトアテンダントにはカンボジア人や
タイ人も乗務しており、政治はともかく、商業活動ではすでにASEANは一体化している感を受けた。

機内のディスプレイで飛行経路を見ると、いま係争中の南シナ海は「EAST SEA」と記されている。
ベトナムが領有権を主張するために「東海」と名づけたのだ。係争の余波はこんなところにも
及んでいることを実感した。

フィリッピンも2011年から南シナ海を「西フィリッピン海」と呼称している。
こうした呼称に対し、中国は国際社会では「南シナ海」が通用していると主張する。

かつての大統領官邸は統一会堂として公開されているが、官邸に突入してベトナム戦争に
終止府をうった中ソの戦車（写真3）が並んで官邸を睨んでいた。

戦争証跡博物館の前庭には米軍が使用した戦闘機や戦車、大砲などが陳列され、また、ギロチンや
拷問に使われた器具・写真で身の毛が弥立つ。館内には枯葉剤による被害やホルマリン漬けの
奇形胎児などの展示もあり目を覆いたくなる。

米国が与えた被害について、コロンビア大学の研究成果なども踏まえて克明に記述されている。
しかし、米軍の54万人に次ぐ32万の大軍を送り込んだ韓国は米軍以上の3万人とも言われる大虐殺をやり、
発見される慰霊碑を証拠に告発され始めている。

また、多数のライダイハン（韓国人とベトナム女性の間に生まれた子供）がおり、
旧サイゴンには兵士の慰安施設が設けられていたことも明らかになっている。

しかし、2013年9月にベトナムを訪問した韓国の朴槿恵大統領は、謝罪の一言も口にしなかった。
博物館にも韓国（軍）についての言及や写真は見られない。
ガイドに問うても、過去よりも現在と未来を志向していることがハッキリした。　>>2へ続く

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43711?page=4