【ロシア】「プーチンは殺し屋」…プーチン大統領は正念場、親ロシア派がマレーシア機撃墜なら、国際的孤立避けられず

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　ウクライナ東部で１７日に起こったマレーシア航空の旅客機墜落を受け、ロシアのプーチン大統領が窮地に陥る可能性が出てきた。
墜落が現地に展開する親ロシア派武装勢力による撃墜だった場合、ウクライナ情勢をめぐって欧米との対決姿勢を崩さない同大統領
が国際的な孤立を深めることは避けられないとみられるためだ。

　◆オランダ人搭乗１５４人

　墜落したのはオランダのアムステルダムからマレーシアのクアラルンプールに向かっていたマレーシア航空１７便（ボーイング７７７）。
同社の欧州部門責任者を務めるハイプ・ゴルテル氏は１８日の記者会見で、搭乗者２９８人中１５４人がオランダ人だったことを明らか
にした。

　コンサルティング会社、ユーラシア・グループのイアン・ブレマー社長は米国、フランス、オランダなどの各国政府が乗客に含まれる
自国民の数を調査していることに言及。これらの国々で墜落の事実に対する怒りが強まれば、ウクライナ東部での紛争終結に向けた
取り組みが加速するとの見通しを示した。

　米国と欧州連合（ＥＵ）は１６日、不安定化するウクライナへの干渉を理由にロシアへの制裁強化を決定した。マレーシア機の墜落は
その後２４時間足らずの間に発生。ウクライナ政府は同国東部の分離独立を目指す親ロシア派武装勢力がロシアからの支援を受けて
撃墜したと非難している。親ロシア派はこれを否定するが、米政府は今週、ロシア側がより強力な兵器を親ロシア派向けに供給している
との見解を発表した。

　カーネギー・モスクワ・センターのアナリスト、マシャ・リップマン氏は電話で「親ロシア派武装勢力がロシアから持ち込んだミサイルで
撃墜したとの確かな証拠が見つかれば、プーチン大統領にはとてつもない重圧がかかる。緊張緩和に向け真剣に取り組まざるを得なく
なるだろう。今回の件で、ウクライナ問題とそれに関連するロシアの役割について、各国は認識を一変させるはずだ」と指摘した。

　プーチン大統領は親ロシア派に兵器と兵員を供給しているとする疑惑を否定。和平の仲介役を果たしていると主張する一方で、
１７日の経済閣僚との会合では民間機撃墜につながったウクライナ軍部隊と親ロシア派武装勢力との戦闘の責任はウクライナ政府に
あると明言した。

　同大統領は「この地が平和だったら、少なくともウクライナ南東部で戦闘が再開していなかったら今回の悲劇は起きなかっただろう。
悲劇が起きた責任は間違いなくこの地を領土とする国の政府にある」と語った。

　会合の公式議事録の中で同大統領は「このような犯罪は断じて容認できない」とし、軍を含むあらゆる政府機関を総動員して調査に
臨む方針を明らかにした。黒海に突き出たウクライナ南部のクリミア半島を併合した３月以降、同大統領の国内での支持率は過去最高
水準にまで上昇している。

　◆一段の干渉懸念も

　ユーラシア・グループのブレマー社長は簡易ブログのツイッターで、墜落がプーチン大統領にとって対ウクライナ戦略を総合的に
見直す良い契機になると述べつつも、同大統領がすんなりと引き下がる展開は考えにくいと分析。ウクライナ側が親ロシア派武装勢力
への軍事攻撃を強めれば、ロシアの一段の干渉を引き起こす可能性があるとの懸念を示した。

　一方、米ジョージタウン大学の外交大学院ワシントン校でユーラシア大陸、ロシア、東欧についての研究を統括するアンジェラ・
ステント氏は、プーチン大統領が親ロシア派武装勢力を「制御不能の状態に陥った」とみなした場合、これを抑えこむための手立てを
講じる必要に迫られるだろうと予想した。

ソース（SankeiBiz・ブルームバーグ　Ｈｅｎｒｙ　Ｍｅｙｅｒ氏、Ｎｉｃｏｌｅ　Ｇａｏｕｅｔｔｅ氏）
http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/140719/cpd1407190500009-n1.htm
写真＝献花が行われたオランダ大使館前で、「プーチンは殺し屋」と書かれたメッセージボードを掲げて抗議するウクライナ人女性
http://www.sankeibiz.jp/images/news/140719/cpd1407190500009-p1.jpg