【検査不正】三菱電機、深刻な隠蔽体質　全社点検後に品質不正6例　専門家「品質不正に対する正しい考え方が組織内で浸透されていない」

擬古牛φ ★

★三菱電機、深刻な隠蔽体質　全社点検後に品質不正6例

2021年7月5日 5:00

三菱電機で再び発覚した品質不正問題。鉄道車両向け空調装置と同空気圧縮機ユニットにおいて
不正な検査を行っていたことが社内調査で判明した。
不正に手を染めていたのは、長崎製作所（長崎県時津町）。定められた検査を行わず、
品質データをねつ造するなどの行為が見つかった。同社はなぜ不正の沼から抜け出せないのか。

同社は7月2日、記者会見を開き杉山武史社長が謝罪し、辞意を表明した。
その上で、社外弁護士を委員長とする調査委員会を設けて実態を解明し再発防止策を策定をするとともに、
品質風土改革を実行すると発表した。

品質不正の内容は、鉄道車両向け空調装置では、購入仕様書の記載とは異なる検査を行っていた一方で、
必要な検査を実施していなかった上に、検査成績書に不正な記載を行っていたことが6月14日に判明した。
鉄道車両向け空気圧縮ユニットでは、購入仕様書の記載とは異なる検査を実施し、
逆に必要な検査を省いていたことが同月28日に分かった。

●3度の全社点検をすり抜ける

「深刻な隠蔽体質と言わざるを得ない」──。
品質管理に詳しいある専門家（以下、品質の専門家）は、三菱電機の品質管理に対する姿勢をこう断じる。
「品質不正に対する正しい考え方が組織内で浸透されていない証拠だ」（同専門家）と。

というのも、同社はこれまでに品質監査（品質保証体制の点検）を3度行っているにも関わらず、
生産および設計開発の現場が品質不正の隠蔽を繰り返しているからだ。その後、品質不正が発覚したケースは今回で6例目を数える。

●三菱電機における品質不正の連鎖

具体的には、［1］トーカン（千葉県松戸市）のゴム製品［2］菱三工業（神戸市）の鋳造製品
［3］三菱電機の高耐圧パワー半導体モジュール［4］同社の車載オーディオ機器用ラジオ受信機（車載ラジオ）
［5］同社の電磁開閉器関連製品［6］同社の鉄道車両用空調装置および同空気圧縮機ユニット──である。

三菱電機およびグループ会社の隠蔽体質は、
［1］トーカンのゴム製品の品質不正が発覚した2018年1月から3年半が経過した今なお続いている。

三菱電機は、自社およびグループ会社を対象に品質監査「全社点検」を16年度と17年度の2度にわたって実施した。
前者は、16年4月に三菱自動車による軽自動車の燃費試験不正が発覚したのを受けたもの。
後者は、神戸製鋼所発で社会問題化した「品質データ偽装事件」を受けた経団連の要請を受けたものだ。
両監査の結果、問題は見つからなかった。

ところが、18年1月に子会社の［1］トーカンがゴム製品の品質データを偽装していた問題が発覚。
2度の品質監査は、それぞれ「点検対象に最終製品に組み込まれる製品を含んでいなかった」
「業務プロセスの妥当性に関する自主点検にとどまり、個々の品質データの確認までは実施できなかった」
（いずれも三菱電機）という杜撰なものだった。

2度の品質監査をすり抜けた品質不正の発覚を「反省」し、三菱電機は自社を含むグループ会社121社に対して、
約3カ月に及ぶ「全社再点検」を18年12月4日～19年3月15日の期間に実施した。
この点検で子会社の［2］菱三工業による鋳造製品の品質データ偽装が見つかった。
トーカンと同じく先に実施した2度の品質監査をすり抜けた品質不正を、3度目の品質監査で捕まえた格好だ。

ところが、「開発・設計・製造・試験・据え付け・保守の全て、またはいずれかを業務とし、
かつ法・公的規格または契約に基づいて品質データを取り扱っている当社部門・関係会社」（三菱電機）に至るまで、
同社が総力を上げて実施したはずの3度目のこの品質監査も、同社に染み付いた隠蔽体質の前には非力だった。

［3］高耐圧パワー半導体モジュールにおける不正検査に、
［4］車載ラジオにおける欧州無線機器指令の不適合と「偽の宣言書」の作成、
［5］電磁開閉器関連製品における米国のUL規格（安全規格）不適合、そして今回の
［6］鉄道車両用空調装置および同空気圧縮機ユニットにおける不正検査と、立て続けに品質不正が明るみに出ているからだ。

一体、三菱電機は全社再点検で何を監査していたのか。（続く）

（日経クロステック　近岡裕）
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC012230R00C21A7000000/

続きは>>2-4

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