【北朝鮮】日本より対米、対中　平壌外語大日本語学部「廃止」の必然　対日政策を重視する必要はないと政権中枢が考えても不思議ではない

擬古牛φ ★

★日本より対米、対中平壌外語大日本語学部「廃止」の必然

　今回は訪朝記の第４弾。夜の会合での朝鮮（北朝鮮）の政府機関関係者とのやりとりについて考える。
匿名が条件だが、政府機関で対日政策を担っている人たちだ。

「共和国（朝鮮）は、日本が過去の侵略について心からの反省を示せば、それに対して金銭的な補償は求めることはない」

　朝鮮の焼酎を傾けながら、高位の幹部がそう語った。
その対応は変わらないのかと念を押すと、「変わることはない」と話した。
もちろん、補償とは別な形での経済協力はあり得るだろう。
しかし、韓国の現状を念頭に置いて考えた場合、日本側が受け入れやすい話であることは間違いない。

　幹部らとのやりとりは夜に行われた。平壌での１週間の滞在で、夜はほぼこうした会合を持った。
こう書くと、スパイ小説もどきだが、ざっくばらんな意見交換会だ。
もちろん、私は日本政府を代表しているわけではないし、それは相手もわかっている。
こうした会合を通じて感じたことがある。朝鮮の対日政策担当者の焦りだった。
「日本は共和国と交渉する気があるのだろうか？」と何度も問われた。
そこに、今の金正恩政権で対日政策担当者の微妙な立場を感じた。はっきり書こう。
彼らの政権内での発言力が徐々に弱まっているのではないか。

　例えば、朝鮮で対外関係を担う朝鮮対外文化連絡協会（対文協）は各国を担当する専門家が２００人ほどおり、
それぞれの国に対応した部署に分かれている。
多くは地域ごとに分かれているが、日本だけは日本局として単独で専門部局を持ち、７人の日本専門家が配置されている。
それだけ日本が重視されてきたということだ。実際に、彼らは間違いなく政府の中で重要な位置を占めてきた。
日朝間の交渉はいずれも朝鮮にとって重要な政策だったからだ。

　しかし、今はそうではない。彼ら自身が十分に仕事をしていないと指摘されかねない状況が続いているからだ。
当然かもしれない。彼らは日本に来ることさえできないからだ。日本政府がビザを出さないためだ。
仕事が減れば、当然、その発言力は下がる。そうした中で、平壌外国語大学日本語学部が廃止された。
対日関係を担当するエリート官僚を養成する機関として機能してきた。希望者が定員を満たさない状態が続いていたという。
日本との間で仕事もなく、また、実際に日本に行ける状況ではないとなれば、日本語を学ぶ若者がいなくなるのは必然だ。

　帰国後、東京新聞に「北、入国禁止解除を要求」という記事が載った。訪日を認めろと要求したということだ。
日朝関係を懸念している在日朝鮮人からは、この記事は事実と異なるのではないかという指摘が出ている。
金正恩政権の総意として、こうした要望が出ているとは考えられないからだ。
むしろ、現状はもっと厳しいというのが彼らの意見であり、私の印象でもある。
対文協の中でもアメリカ、中国の担当者の発言力が強まっている。それは実際の仕事に裏打ちされているからだ。
何も、対日政策を重視する必要はないと政権中枢が考えても不思議ではない。

　安倍総理は、前提条件なしに日朝首脳会談に応じると言えば、すぐにでも日朝首脳会談が開けるように考えているのかもしれない。
もちろん、朝鮮の対日政策担当者はそうしたいだろう。しかし、現実にはそうはならない。その現実にそろそろ日本は気づいた方がいい。

日刊ゲンダイDIGITAL　https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/254859

【北朝鮮】 日本より対米、対中 平壌外語大日本語学部「廃止」の必然 対日政策を重視する必要はないと政権中枢が考えても不思議ではない

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